招かれざる客と精神の人格『サスペリア』
2018年ベストで3位(実質1位)に選んでいた『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が超有名ホラー『サスペリア』をリメイクするってんだから、一体どうなってるんだ!と興味しんしん丸だったので2/1にファーストデーを利用して観てきました。
ホラー傑作『サスペリア』リメイク版の初予告編! - シネマトゥデイ
観た後すぐの状態
わ、わからねぇ…
— バシ (@bashix4) 2019年2月1日
そう、全然わかんなかったんです。
ストーリーとかシーンとか、そういう所はわかるんですけど、この映画がどういう意図で作られているのか、何の比喩・暗喩なのか、どんなメッセージなのかが自分の中でうまい落としどころが見つからず、うんうん唸りながら考えてました。
「とりあえずインタビューとか見てみるか」とネットで記事あさりをしていった時にこの記事にたどり着き、それによって自分の考えがまとまりました。(リンク先ネタバレあり注意)
サスペリア、監督インタビューとか観たおかげである程度まとまってきた
— バシ (@bashix4) 2019年2月1日
まとまった上でもっかい観たらより面白いかも
自分の考えは「1977年のドイツの秋に揺れる、不安定な社会情勢の中に生きるひとりの女性の物語」です。
ここに至った理由は上記事内にあった「エゴ」「超エゴ」「イド」という精神学的な概念がきっかけでした。
ざっくり言うと「イド」は本能の欲望、「超エゴ」は俯瞰的な視点を持った存在、「エゴ」はその2つのバランサーという考え方。この3つがある3人とそのまま結びつくという解釈から、カンパニー内の出来事(内側の出来事)は脳内での出来事、差し込まれるドイツ社会状況が実際の1977年に起きている外側の出来事。
外側の出来事が進行、緊張が高まっていくにつれカンパニー内で不穏さが増す。
今作の主人公はスージーですが、それは外側から来た招かれざる客で中心人物であるマダムブランが実はメインである。スージーは外側で起きている不安の象徴で、イドや超エゴから派生して出てきた人格たち(カンパニーの人間)が派閥を作ったり右往左往しながら最終的に選別され、整理される。鍵を掛けたのは余計な考えをこれ以上入れないようにするため、というように自分の中でまとめました。本作のキャストほとんどが女性である点もその考えを後押しします。
リメイク前のサスペリアが1977年公開で、リメイク元では描かれていないその背景をわざわざ入れた理由は社会不安に対峙する女性を描くためかなぁ、なんて思ったりしました。
まぁそんな風に観るのは単なる考えすぎだとは思いますが、今作は2度3度観るたびに味わいがある映画だと思うので、ハマる人はとことんハマるタイプだと思います。
痛いシーンもありますが終盤は不思議な体験が出来るので、興味がある人は是非。
※2/6追記
映画評論家の町山さんによるネタバレ解説がありました。
やっぱり聞くともう一回観たくなるなぁ!
町山智浩氏 サスペリア公開記念 トークショー【映画ネタばれあり】
今作の時代背景である”ドイツの秋”をメインにした映画