サービスの幕の内弁当!『バンブルビー』
今年の3月は実に運が良くて…『バンブルビー』も実は試写で観てました!
(自分にとって)映画界のラーメン二郎でお馴染み『トランスフォーマー』の初スピンオフ作品であり、2016年のマイベスト1位『KUBO 二本の弦の秘密』で話題をかっさらった上にトラヴィス・ナイト監督の初実写作品!
2つの要素が混ざり合った時、どんなケミストリーが生まれたのか。楽しみにしながら観てきました。
結論としては、今までのトランスフォーマーシリーズで一番いいんじゃあないか?というくらいよかったです!
今作は第一作目の映画『トランスフォーマー』の前日譚に当たる立ち位置なので、仲間もオプティマスプライムぐらいしか出てこないし敵側のサイバトロンもTVアニメ版のキャラが出てきているのでシリーズ作を観ていなくても問題ありません!親切設計!SWで言うところの『ローグワン』にあたる位置付けですね。
もちろん『トランスフォーマー』に至る経緯、つまり「なぜバンブルビーはこういう設定なのか」という部分もきっちりクリアしている上にそのほとんどの部分を序盤の部分でやりきるスムーズさ!終盤に持ってくるのではなくて序盤に持ってくる事でよりその後の物語に集中させやすくする作りにしている辺りは整理が上手いと思いました。
今作はトランスフォーマーのスピンオフであると同時に80'sを背景にした青春映画の側面も持っています。
過去から逃れられない少女が新たな友人と出会い交流していくことによって変化し、前を向いて行く。バンブルビーを人物に置き換えても充分成立するストーリーになっていて、ある種ジュブナイル的な作りにもなっています。しかもそのドラマもよく出来ている!
特に"飛び込み"というシーンの意味付けや対比構造の入れ込むタイミングもここに合わせるか!うまい!と思わず膝を打つ気持ち良さでした。
ヘイリー・スタインフェルド演じる主人公は同世代の友人がいない浮いた存在なのですが、この演技がまた絶妙。彼女の代表作の一つでもある『スウィート17モンスター』の痛々しいティーンとはまた違った演技をしているので、この微妙な使い分けができる所はすごいなぁと思いました。
これは憶測ですが、ヘイリー・スタインフェルド演じる主人公チャーリーは時代的には少し前になるパンクロックやザ・スミスを好んでいたりするので、そういったアイテムも「過去に囚われている」象徴のひとつでもあるのかなー?と思いました。ティーンの流行は早い上に1987年辺りはテクノサウンド黎明期の様に思えるので。単純に監督の世代という可能性もありますが(笑)
しかも今作はそれだけではなく、前述した80's音楽が軽快に鳴りまくる音楽映画的な側面まで持ち合わせています。バンブルビー自身の軽い性格とラジオを用いて会話する性質が合わさる事によって、劇中では終始音楽が流れ続ける仕様になっていて「おいおいこんなにサービスしちゃっていいの?」というくらい要素が盛りだくさんになっています。
エンディングのヘイリーが歌う『Back to Life』もちゃんと映画用にアレンジが加えられていて、劇中内で印象的にかかる80'sテクノサウンド(デュランデュランやヴァン・ヘイレンなど)に変更されている部分があるので、より親和性が高くなっている仕様に。こういう所でも"わかってる"のが感じられます。
Hailee Steinfeld - Back to Life (from "Bumblebee" / Lyric Video)
原曲だと打ち込み音が今っぽいアプローチなのに対して
Hailee Steinfeld - Back to Life (from "Bumblebee" / Audio)
サントラ版だと打ち込み個所の音がテクノ的なシンセサウンドに!
もちろんトランスフォーマーシリーズでお馴染みの変形シーンも今まで5回も映画でやっているにも関わらず「そのショットで見せるのか!」という見せ方で、バトルシーンも火薬少なめ工夫多めな仕上がりでまた一味違った充実感を得られることができます。
やっぱりその発想は監督トラヴィス・ナイトがストップモーションアニメを作り続けてきた事によって生まれたものなのかなと思いました。すぐに事例としてパッと思いついたのは『シンゴジラ』での庵野秀明の見せ方。あの作品も低い位置からの撮影や家屋が倒壊する所の見せ方など創意工夫が凝らされていました。
あとはやっぱりバンブルビーというキャラクターのキュートさも存分に発揮されていて、海岸での特訓での不意打ちに思わず小岩の後ろに隠れるでっかいバンブルビー、家の中を好奇心で探索して結果家の中をぐちゃぐちゃにしてしまうバンブルビー、ムカつくアイツへの仕返しが楽しくてハシャギすぎちゃうバンブルビー、しょんぼりビーなどなどアイドル映画ばりのバンブルビー萌えつるべ打ち!これを観てバンブルビーを好きにならないほうが難しいレベルの愛でポイントの多さ!ずっと観ていたいですよね…バンブルビーの隠し撮りドキュメンタリー特典こないかな…
上記の様に今作は前日譚・スピンオフ・青春SF・音楽・アクションといった様々な要素を足して割らずに出来上がってる作品なので「うまいんだけど、こんなに量多くなくていいよ!」というある意味二郎成分をきっちり受け継いでいる仕様になっています(笑)。これでよくバランス取れてるなぁと感嘆する出来。
個人的には救出シーンでちょっとテンポが遅くなってダレる印象覚えましたが、振り返ってみればむしろよくほとんどダレずに作ってあるなぁと感心しました(笑)。
上映時間は2時間近くなのでそこまで長くないのですが、観終わった後の満腹感もとい満足感はものすごくあります!なのでザ・エンターテイメントな映画が観たいのであれば今作ほどあっているものは無いと思うので、是非是非ご覧になってください!
『バンブルビー』観た!
— バシ (@bashix4) 2019年3月7日
トランスフォーマーシリーズ最高傑作でた!ファンサービス、ロボットアクション、ティーン青春映画を足して割らないサービス精神の幕の内弁当!
めっちゃ美味い以上に量がハンパないからお腹いっぱいってくらいパッツパツ!
あと80'sの曲がたっぷり流れるのもポイント高い! pic.twitter.com/nOJjg7fpg2
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トラヴィス・ナイト監督の前作であり2016年マイベストワン作品!