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オマエの炎も俺が燃やしてやるぜ!『プロメア』

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お久しぶりです。更新サボってました…

かなり作品が溜まっているので、年末までには追いつけるよう頑張りたいです!

今作も公開は5/24だったんですが、遅れに遅れて先週やっと観てきましたよ!

天元突破グレンラガン』や『キルラキル』でお馴染みの今石洋之監督×中島かずき脚本コンビの最新作!特にグレンラガンは個人的アニメオールタイムベストテンに間違いなく入るほど好きなので観逃すワケにはいかんだろ!って事でようやっと観てきましたよ!

 

 


映画『プロメア』本予告 制作:TRIGGER  5月24日〈金〉全国公開

 

 

まず鑑賞直後の感想がコレですよ。

 

お分りいただけるだろうか。この熱量を。

 

これを観るまでは2019年暫定ベストは『スパイダーバース』だったんんですが、まさか超えてくるほどの出来だとは思いませんでした!

 

大まかなあらすじは、炎を操り火事を起こすテロ集団、通称“マッドバーニッシュ”と、それによる火事を消化する特殊消防隊“バーニングレスキュー”のいる街プロメポリスで巻き起こる壮大な事件と陰謀に立ち向かっていく真っ直ぐな熱血漢ガロ・ティモスが主人公の所謂「燃えアニメ」。

ただその熱量がハンパなく高い!もう最初の火事発生→現場急行→敵とのバトル→タイトルが出るまでのシークエンスが最高すぎて、この衝撃は『マッドマックス怒りのデスロード』以来!

その後も怒涛の展開の連続でラストはこれでもかと言わんばかりのクライマックスのつるべ打ち!そしてまさかのガイナ立ちに号泣!という初体験まで来る始末!あまりの面白さにツイッターアイコンをプロメポリスマークに変えるほど!

 

ものすごく感動したのは様式美の美しさ。

ベタだからつまらないとか先が読めるとかではなくて、ちゃんと王道を守っているからこその安心感と今石作品ひいてはガイナックスではおなじみの口上やキメポーズといった、さながら歌舞伎のような場面展開はまさに伝統芸能!だから日本人としては馴染みやすいし入りやすいのかなぁなんて思ったりしました。実際ガロの愛機・マトイテッカーの出で立ちなんかも歌舞伎を彷彿とさせるようなデザインな気もします。

 

また一般的に映画に限らず作品観ている時に鬱屈した気持ちから解放される事の気持ち良さを「カタルシス」と言いますが、カタルシスには浄化という意味も含まれています。

今作のカタルシスの感じ方はとにかく異常で、明らかに鬱屈するポイントよりも解放されるポイントの方がめちゃめちゃ大きいんですよね。その勢いは作品内だけでは収まらず、まるで「現実世界での“炎上”も全部まるごと俺の炎がまとめて飲み込んで消火(昇華)(浄化)してやるぜ!」とガロが言っているかのようです!そんな展開されたらコチラとしては打ちのめされる他ありませんよ!

 

こういうルックの燃えアニメは得てして「勢いで持っていく内容」「多少の矛盾は無視しても気にすんな!」というようなアタマ使わなくていいストーリーなんて思われがちですが、今作はその点で言えばかなりしっかり作られていて、正義と悪・白か黒か、というような二項対立で描かれるものではなく、相手には相手の事情があると言った部分や、その上での矛盾に葛藤するという事が小難しくなくならないバランスで非常にうまく組み込まれているので、キャラ描写が丁寧でありながらもエンタメ色も強く出している、すごく良くできた作品だと思います!

 

見た目、ないし視覚的な表現としても画期的な、アニメーション表現の可能性や伸びしろ、幅を感じさせてくれるようなものだったと思います。

今作との視覚的な対比としてよくTL挙げられていた作品に第91回アカデミー賞で長編アニメーション部門を受賞した『スパイダーマン スパイダーバース』があります。しかしスパイダーバースと決定的に違うのは、前者が最新テクノロジーを用いて同一画面に違う絵柄のキャラクターが違和感なく同居している等といった技術的なレベルの高さを示しているのに対し今作は、丸・三角・四角といった幾何学模様の組み合わせによって表現の幅を最大限拡張している点や、カートゥーンアニメのような色にする事でシンプルさの中でも絵的な違いがわかるようなバランスを組み込ませていくといった部分。

非常に創意工夫に富んだ発想力で新しいアニメーション体験を誕生させていると思います。

 

またキャラクター名も古代ギリシャ語から来ており(フォーサイトは英語ですが)その由来も読み進めていくと、また更なる発見が生まれて超楽しいです!(以下まとめ参照)

フォーサイトとプロメテウスが実は同じような意味を持っていて、その上でクレイ・フォーサイトというキャラと照らし合わせると…なんて話も面白かったです!

togetter.com

 

それでなぜこれを一位と感じたかというと、他の作品と明確に違って「面白かった!」が真っ先に来たんですよね。

それまでの2019暫定ベストであり、先ほども比較に出していた『スパイダーバース』含め面白かった作品は軒並み「こうだったから面白かった」「こういう理由があって感動したからよかった」というように“理屈があって面白い”という流れであったのに対し、今作は「面白かった!でもなんで面白いと感じたんだ?」という、感情があってそこから理由を逆算している“面白い理屈を探していく”全く逆の現象が起きたことが大きいと思います。

この感覚自体も『マッドマックス怒りのデスロード』以来なので、今後よほどのことがない限り動かないだろうなぁと思っています。

 

まさに圧倒的な完成度!

観るカンフル剤!

スキがない上に好きだらけ!

スクリーンで観ないと後悔する一品なので、まだ観てない人は一刻も早く観てください!

 

 

 

今石×中島コンビの傑作たち!

 

今作の色づかいの元になった今石監督作。未だに大好き!続編ないかなぁ