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よくできた”映像作品“『ウィーアーリトルゾンビーズ』

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サンダンス映画祭で審査員特別賞もらったりベネチア映画祭のジェネレーション部門で準グランプリ獲ったりと話題だった今作が、2019/8/31限定で無料公開していたので、いい機会だと思い観てみました!

それにしてもまだまだ劇場公開してる作品を無料でやるなんて、ものすごい太っ腹…!

 


映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』予告編(2019年6月14日全国公開)

 

うーん結論から言ってしまうと「自分とは合わなかった」

確かに合成だったり定点カメラを多用した見せ方だったりバキバキ加工した画面とかの、中島哲也っぽい(どっちも映像畑出身ですね)まさに”映像作品”的な絵作りはカッコいいし新鮮に見えたりもするんですけど、それが妙に薄っぺらく感じてしまうんです。見てくれの面白さはあるけど映画的な意味を感じないというか。定点カメラとかは絵的な面白さはあるけど、『クロニクル』みたいに“その手法で撮る理由”は感じなかったです。

RPGに見立てる事で現実と折り合いをつけて“ゲーム内の出来事”として他人事にする事で現実に対して不感症になる。現実逃避の処世術を肯定する姿勢とかメッセージは思春期とか燻ってた人には刺さると思うんですけど、それをセリフとして大体言っちゃうのはもうちょっとやり方あっただろ?って思ってしまって…まぁ見てほしいターゲット的にハッキリ言わないと伝わらないと思ってるのかもしれませんが、いかんせん情緒がない様に思ってしまいました。

 

実際自分が一番印象に残っているシーンがWE ARE LITTLE ZONBIESのPVなんですよね。だから瞬間的な撮り方とか短い時間でまとめる力はあるんだと思うんだけど、それと同じ手法で120分やられると後半ダレてくるというか同じような画面が続くので飽きてきてしまいました。

監督自身もインタビューで「映画を破壊してやろうと思った」と言っているので、この作り方はワザとだろうっていうのはわかるんですが、あまりにもその意識が出すぎてしまっている気がします。作家性というよりは映像クリエイターとしての欲が出ているような…

 

www.cinra.net

↑該当するインタビュー記事です。

 

上記のインタビュー内でも言ってるんですが「映画的って何だよ?」って言ってる辺り個人的には不誠実というか、そういうスタンスで作ってるのねって思ったんです。

じゃあ自分の考える映画的って何か?と考えてみたときに出てきたのが「化学反応」だと思って。

役者の演技や撮影、ライティングなどで作った空気感などのひとつひとつの要素が掛け算されて狙ったもの以上の効果が出てしまう。そのアンサンブルこそが映画的な瞬間だと思っていて、だからこそ切り取り方とかリアリティラインとかキャラクターの立ち方が大事になってくる。でもこの作品は調味料ぶちこみまくって着色しまくって作っているから、例えるならハンバーグにチーズかけたらこういう味だよね、という想像通りの事しか起きていない。同じ映像出身でも中島哲也はその辺の塩梅も上手いと思います。アレンジしすぎて 映画のマジックを殺してしまっている。

 

あと「100人いたら100通りの感想が出る様にした」って言ってるけど、ちょっと匂わすシーンを入れたくらいでオープンエンディング的な言い方するのはどうなのかと…

先述したように心の声まで全部出ちゃってるレベルで大事な所も気づきもバンバンセリフで言ってたらそこまで十人十色の感想にならないと思います。バーニング劇場版見てください!

 

あとドラムちゃんと叩いて!!

他のメンバーは動きあってるのに一番ズレるとわかりやすいドラムは結局一回も合ってなかったよ!!!細かい様だけどそこもキッチリして!それかズラすなら全員ズラして!!

 

もう一回言いますが基本的には「合わなかった」です。賞とった!っていうので勝手に期待して小手先ばっかだったから勝手にガッカリしただけです。迷惑な話ですが。そもそも劇中にも名誉に目が眩む大人とか出てくるので、その辺もわかってるんだとは思いますが。だから予防線張ってるみたいでズルく感じる。言ったら負けみたいな。

思春期真っ只中とかもっと若い時に観てたら全然違った感想だったかもしれません。傑作って言ってたかもしれないので、観るタイミング完全に失ってしまってた映画だったなと思いました。くすぶりティーンにオススメします!

 

 

 

 サンダンス映画祭受賞作でおそらく一番有名なヤツ

セッション(字幕版)