アイデンティティを巡るツアー『グリーンブック』
祝!アカデミー賞受賞おめでとうございます!!実は試写で一足先に見ていたんですが、感想を上げるのが遅れに遅れて今ですよ…鉄は熱いうちに打てってね。
久しぶりに王道でいい話!っていう映画を観た感覚。
貧富や人種の格差をコメディタッチで進んでいくあたりは『最強のふたり』を思い出したし(ケンタッキーのくだりは最高!)、人種差別に対する社会的なメッセージ!というよりもアイデンティティを巡る旅にフォーカスが当たっている辺りが『グリーンブック』というタイトルにぴったりマッチするなぁと思いました。
基本的には彼らの掛け合いがメインである中で黒人専用の汚いトイレや外出禁止の州法、白人警官の横暴といった道中訪れる差別の数々に差別的だった白人トニーの心境が変わっていくといった作りで、この自然と行われていた差別の塩梅が強すぎず弱すぎずちょうどいいので、観ているこちらも自然と感情移入するのかなぁと思いました。
それゆえに「白人視点での黒人映画にすぎない」という批判もでたのかなぁと。要するに甘い!という事で。
また、今作でふたりを繋ぐもののひとつに「ドロレスへの手紙」があり、これによってのドンの教養に魅かれるトニーと、それをどんどん吸収していく事で対等な関係になっていく。迎えるラストのセリフも相まって本当に微笑ましくよかったです。当初のタイトルも「ドロレスへの手紙」にする予定だったらしい(トニーの息子のニック・バレロンガが提案したが監督からは不評だったのでボツになったそう)
やっぱり注目すべきは助演男優賞を獲ったマハーシャラ・アリの演技!あのショーが終わったあとの作り笑いっぷりと素の笑顔のギャップ。感情を吐露する瞬間など、彼が如何に同じ肌の人達と分かり合えない人生を送ってきたのかを雄弁に語ってくれる演技は受賞も納得!繊細だけどわかりやすい。よくよく考えるとすっごい難しい事をやってのけてるなぁと。
あと前述したアイデンティティ関係で上手いなぁと思ったのは、ツアーに行く時は"トニーの目線"で部屋に入るので、その絢爛豪華、王族のような部屋に圧倒されるのですが、ツアーが終わり、部屋にドンが戻ってきた時、つまり"ドン視点"で部屋に入った時の印象が、まさにルーツのない虚飾の部屋という見方に変わっている。この辺りの感じ方の違いがわかる演出はホント巧みだなぁと感心しました!
旅を通じて現実や自分を客観視し、他者を受け入れ進んでいく。まさに気持ちのいいロードムービーでした。
映画を観る際はケンタッキーフライドチキンの用意を忘れずに!
グリーンブック 試写で観た
— バシ (@bashix4) 2019年2月12日
王道ながら超イイ話!ストレートに良い!激推しです!!
張り付いた笑顔が心からの笑顔に変わる瞬間の素晴らしさ、心の交流から自分のアイデンティティに至るまで丁寧にドラマを重ねながら描かれる友情に無条件幸福!
試写に人が少なかったのが不思議なくらいよかったよ! pic.twitter.com/JbKHcYJile
ハリウッドリメイクも決まってるらしいけど、どうなんでしょね?
最悪ケンタッキーがなければこっちで代用でも…