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新たなカルトムービー爆誕!『キャッツ』

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アメリカ演劇界で最も権威のある賞「トニー賞」にて作品、脚本、楽曲、助演女優、衣装、照明、演出と7部門も受賞した名作ミュージカルがまさかの映画化!しかもCGメイクを駆使したリアルキャッツでお出迎えというものすごいビジュアルが話題になっている本作!

そして評論家からありとあらゆる言葉を用いて語られる評の数々も話題になったりと、公開前からものすごいムーブメントが起きている作品なので、もはや怖いもの見たさの精神で観てきましたよ!(笑)

ちなみに吹替で鑑賞しました!

 


『キャッツ』日本版予告

 

 

どうしてこうなった…

↑これですよ!?この布陣でどうしてこうなるのか疑問でしかない!!

もう言いたいことはめちゃくちゃあるんですよ!

まず映画としての構成がほとんどなくて、これは『キャッツ』という作品そのものが

・原作が詩

・それを歌にしたもの

で作られており、その数々の歌の集合体がひとつの作品になっている内容なので、終始歌いっぱなしでセリフがほとんどないんですよ。

だからまったくキャッツを知らない自分なんかは「いつ状況とか設定とか出るのかな?」って思ってたら終わって面食らったし、そのくせキャラクターがめちゃめちゃ出てみんな代わる代わる歌うので把握がホント大変!終盤になっても「お前誰だっけ?」現象が起きていたので、映画を観る前に公式サイトでキャラクターページだけでも観ておくとのめり込みやすいと思います!

 

CHARACTER|映画『キャッツ』 公式サイト

 

だから舞台の映画化としてひとつの正解ではあると思うんだけど「だったら舞台で見たほうがよかったかもなぁ…」と思ってしまうのも事実で。だからこの映画をキッカケに舞台版に興味を持てたので、そういう意味では成功しているかも(笑)。監督も「夢が叶った」みたいな事も言っているので、その"推し力"がにじみ出てコッチに伝わってきていると思います。

 

もうひとつの(ここが最大かも)問題点がCG!今作はCGとメイク・実写とのバランスが本当に悪い!しかも耳とか尻尾とかが感情表現にまったく役立ってないから「CGじゃあなくてもよくね…?」感が凄まじいんです!メイクでいいじゃん!(からの舞台でよくね?ムーブに繋がっていくという…)

"不気味の谷現象"っていうのがあって、要は絵画やCG、ロボットなんかの見た目や動きなどの描写が実際の人間に近づいてくるにつれ、最初は似ている部分に対して好意的でも、それがある一点に達すると"人間的でない部分"が悪目立ちしていしまい、不気味な嫌悪感を抱くようになる現象の事なんですが、今作はまさにそれ!

しかも猫人間に慣れていても「誰が猫人間だけだといった?」とでも言わんばかりのシーン、具体的に言っちゃうと『魔法にかけられて』の"アレ"以上の超グロテスクどうかしてるシーンが突然やってくるんですよ!!アレは本当にキツかった…本当に眩暈がしたよ…

 

そしてそのせいで背景をとにかくボカすボカす!だから被写界深度が浅いせいで遠近感が極端になくなって背景がのっぺりになり立体感が死んでるんですよ!だからイマイチ猫人間の大きさがハッキリしないし、パースが狂ってる感覚に陥る。おそらく人物に対するCG技術の影響でそうなっちゃってるんだと思うんですが、背景美術ちゃんと見たかった…

しかもセットちゃんと作ってるんですよ!?それもかなり巨大で見事なセットを!!これが全く生かされていないのはホントもったいない!!!メイキングの方が立体感とかパースとかの取り方が優れてるってどういう事だよ!!!!


CATS - A Look Inside

 

CGの足引っ張りはそれだけにとどまらず、とにかく猫に近づけるために"ふんわり着地"を採用しているせいで、どんなに躍動的な動きをしてもふんわり着地でダイナミズムを殺してるという…大きく飛んでもふんわり着地はやりすぎだって!!猫にしたいのか人間味残したいのかどっちだよ!!!

 

ストーリーに関しては「主人公とは…」とか色々あるんですが、元々筋があってないようなものなので終盤まではまぁまぁまぁまぁいいかな~って思ってたんですよラストまでは!

ラストは本当に蛇足。アレのせいで一気に「あっ観客だったわ…」って現実に引き戻されたし、急に夢から覚ませられたから本当にガッカリした…円環構造って知ってる?

あとジェリクルキャッツになれたんなら名前つけてよ!!フリもあったのになんでだよ!!!違う意味で裏切られたわ!!!

 

吹替は予想以上に良かった!!というかキャッツ自体にセリフがほぼないため歌が上手ければ問題なし!これはキャスティングした人の功績!!

葵わかなってどんなんだろうと思ったけど歌めっちゃ上手いのね!すっごく努力したんだろうなぁ…特にハイトーンがブレずにしっかり出てて、本当にすごいと思った!

もちろん吹替用に歌詞を翻訳・調整してる部分も自然に聞けて、この編曲仕事も見事と思った!SINGの時も思ったけど蔦谷好位置はホントいい仕事してくれるから信用できる!!

あとはもうキャッツ吹替の勝者はマンゴジェリーを演じた宮野真守ですよ。

もうね、宮野にしか見えない。宮野出てた?ってレベル。なんだったら顔も似てる気がする。動きまで一致。こんなにピッタリ合う人いないんじゃあないか?前世で結ばれてたのかな?

 

そして一番の疑問がねぇ…この映画つまんなくないんですよ。

ここまで言っといて「じゃあつまんなかったの?」って聞かれると「いやつまんなくはないんだけど…」って言葉に詰まるんですよ。得も言われぬ魅力はある。音楽は全曲イイし、体感時間も思ったより短かったし、タップダンスのシーンは上がったし、ビューティフルゴーストとメモリーのシーンはめちゃくちゃ耳に残るし…ホントにね、こういう気持ちにさせる映画のことを「カルトムービー」って言うんだなって心の底から実感しましたよ。これひょっとしたらこの歪さを味わいたいがために見返すことがあるかもしれない(笑)

なので、2020年代始まって間もなく生まれ落ちたこのカルトムービー、観たこともない映像体験として劇場で観ることをオススメします!!!

 

 

1998年に制作された映画(というか舞台?)予習に最適!

キャッツ (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

歌って踊るカルトムービーと言えばコレを思い出します。

ロッキー・ホラー・ショー (字幕版)

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